元ボクサーがトレーナーから理学療法士になりました日記

適当に更新する予定です。飽きたらごめんなさい。

トレーニングと練習について

ボクシング(に限らずですが)をするにあたって、「トレーニング」と「練習」を分けて考える必要があると思います。

 

何を分けて考えるのかというと、「目的」です。

 

(完全に分けられるものでもないですが)「トレーニング」は、筋力や持久力などの「体力」を向上させる目的で、「練習」は、体重をのせたパンチの打ち方やパンチの避け方などの「技術」を上達させる目的で行っていくものと考えています。

 

そのように考えた場合、例えばシャドーボクシングを行う時に「どのように体重移動して打つか」に注意を向けて実施していると「体重をのせたパンチを打つ練習」になりますし、「手数を出し続けること」に注意を向けて実施していると「手を出し続ける持久力のトレーニング」になると思います。

 

ただ、ここで気をつけたいのが、どういう方法で練習やトレーニングに取り組むかを考える必要があります。

 

例えば上記の例で、持久力を向上させる為にシャドーボクシングを取り入れたとします。

 

しかし、ボクシング初心者がパンチの打ち方が良くない状態でシャドーボクシングを持久力のトレーニング法として取り入れてしまうと、良くない打ち方のパンチを数多く繰り返すことになります。

 

そうすると、良くないパンチを出し続ける持久力はつきますが、良くないパンチの打ち方が身についてしまう可能性があります。(良くないパンチを打つ練習をしてしまっている)

 

そういった場合、持久力を向上させるためには、ロードワークや縄跳びなど他の方法を選択した方が良いかもしれません。

 

けど、ロードワークや縄跳びで培った持久力が、ボクシングにそのまま反映されるかというと、そうでもありません。

 

ラソン選手がボクシングのスパーリングを行った時に長いラウンドを戦えるかというと、1ラウンドで息があがって動けなくなったりすることがあります。

 

それは、スパーリングにおいての疲れやすさ、疲れにくさは、心肺機能や筋持久力だけではなく、パンチを打つ時の力加減、パンチを打たれる事に対する慣れ、パンチへの恐怖心、ペース配分など、様々な要因があるからです。

 

逆にボクサーとして持久力があるからといって、マラソン選手に勝てるわけでもないということになります。

 

そこにも、走るフォームやペース配分、駆け引きなども影響してくるからです。

 

「じゃあ、ボクサーは実践に近いスパーリングだけするのが一番良いんじゃないか?」といった疑問が出るのかもしれませんが、それもそうとは言えません。

 

先程あげたパンチの打ち方も全く出来ていない初心者が、スパーリングをする中で打ち方や避け方を学ぶのは、かなりハードルが高いと思います。

 

例えば、「左ジャブをこうやって打つ」と教わったとして、シャドーボクシングのように誰にも殴られない、自分のペースで出来る状況で行うのと、スパーリングのように相手が殴ってくる、動き回らないといけない中で行うのでは、前者の方が行いやすいと思います。

 

何もない状況で打てないものが、難しい状況で打てるのかというと難しいケースが多いと思います。

 

しかし、最終的には実戦の中で左ジャブを打てないといけないので、そこに至るまでに、どのように練習やトレーニングを進めていくのかを計画立てていく必要があります。

 

このように目的に応じて、練習とトレーニングを分けて考える必要があり、さらにその方法もその時期の課題に応じて決めていく必要があります。

 

今回は、初心者を例にあげましたが、上級者であればまた異なると思いますし、もちろん試合が決まっているのか、決まっていないかや、試合間近と決まりたてでもやるべきことの比重や優先度は変わってくると思います。

 

現在の自分の状態、状況に応じて、目的と課題を明確にし、優先順位をつけて練習やトレーニングに取り組んでいくことが大切だと思います。